さよならとその向こう側
「とりあえずコーヒーでも淹れるから座ってて。」


私をソファへ促すと、実はキッチンへ向かう。


いつもは、私も一緒に立っていたキッチン。


この前泊まった時は、二人でハンバーグ作ったよね。

大葉を入れて大根おろしをのせてポン酢をかけて"和風ハンバーグ"。おいしかったよね。


もう私はあのキッチンには立てない。



涙が溢れてきて、視界が滲んで見える。




「実…。」


「ちょっと待って。もうお湯沸くから…。」


実は、話しかけても、私を見てくれない。


「コーヒー要らないから。ちゃんと教えて。何があったのか…。」


すると、黙ったままコンロの火を止め私を見つめた。



少しの沈黙の後、実が口を開く。







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