さよならとその向こう側
「それで、どんな物がいいと思います?」


ただの口実とはいえ、父の日のプレゼントはちゃんと買わなくちゃ。

その為に神田さんは来てくれた訳だし。



すると彼はにっこり笑う。

「綾さんからのプレゼントなら教授はどんな物でも喜ぶと思います。
ただ、個人的な意見を言うなら…是非写真をあげて頂きたい。」


「写真、ですか?」


一体何の写真?


「教授のデスクに飾ってある写真、以前聞いた事があるのですが、綾さんが小学校に入学した時の物だそうですね?」


「え?父はまだあの写真を飾ってるんですか?」



昔から仕事で忙しい父。

だけど小学校の入学式は来てくれて、父と二人で並んで写真を撮った。

よくある、【〜小学校入学式】と書かれた看板の前で。


そう言えばあれ以来、二人で写っている写真は無いんだ。


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