幼なじみ〜first love〜
「なぁ…蒼、そぉいうの…ただの同情ってやつだろ?愛情じゃねぇよ…」




ケンは、眉間にしわを寄せ、灰皿にタバコの火を押し付けた。




「沙羅は…俺にとって大切な人だよ…」




大切な人は


ひとりじゃない……




恋人だったり


友達、仲間、家族、親戚、ペット……




皆、大切なんだ






どうして大切なモノは

一つじゃないんだろう………?




そしたら

こんなに胸を痛める事も




涙を流す事も




誰かを傷つける事も……




なかったのに……―――。





「蒼…おまえ本当にそれでいいのか?本当に沙羅と、近い将来…結婚するつもりなのか?」




「俺も沙羅も大学卒業して、金に余裕もできて…そしたら自然と…そぉなるだろうな……」




俺がケンの顔を見ると、ケンの目には涙が溢れていた…。




「確かに沙羅…可哀想だよ…けどな………じゃぁ絢音っちの事は…?絢音っちは可哀想じゃないのか?おまえを…蒼を信じて、ずっと連絡を待ち続けてきたんだぞ…?」




「………ケン」




「沙羅を幸せにするって…絢音っちは、誰が幸せにすんだよ――…」




ケンは震える唇を噛み締めながら、俺をまっすぐと見つめていた……―――。
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