幼なじみ〜first love〜
俺たちは

もう大人になった




いつまでも

素直な

綺麗な




子供じゃいられない




「大人とか…子供とか…関係ねぇだろ…?どーして二人こんなに想い合ってんのに…離れんだよぉ…っ」




ケンは、声を詰まらせながら言った。




「……絢音の為だよ…」




「…意味…全然わかんねぇよ」




「…ケン…もう帰ってくんねぇか…?俺、バイト行かなきゃいけねぇから…」




俺は俯いたまま言った。
ケンの顔を見るのが怖かった。




何もかも、話してしまいそうで……




「蒼…おまえ……何隠してんだよ…?」




ケンの問いに、俺は黙ったまま、目を閉じた。




何を隠してる……


ケンの言葉が頭の中で繰り返される。




すると、ケンはスッと立ち上がり俺に言った。




「…俺は、おまえの味方だかんな」




ガチャ……――バタン…ッ――




ケンは、ドアを開けて帰っていった。








わかってる……




揺らいではいけない




“絢音の幸せを願う”




“沙羅のそばにいる”




運命が導いた

この決断を




悩み、苦しみ、


何度も

涙を流した俺は




もう二度と揺らぐことはないと…




そう決めたはずなのに……




どうしてまた

俺の心は乱れ




言うことを聞いてくれないのだろう……




頭の中と心の中が

めちゃくちゃになっていた……―――






「……絢……音…」




神様…、


どうして俺は

絢音を

好きになってしまったんだろう…?




これは神様が

俺に与えた




――………“罰”






助けてくれ……誰か
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