幼なじみ〜first love〜
「もぉ〜っ!蒼も遊也くんも勝手なんだからぁ〜」




沙羅が頬を膨らましてスネている。




「あの2人…昔からあぁなの。どっちも負けず嫌いで…いっつもケンカ」




あたしが微笑むと、隣にいた沙羅は立ち上がった。




「……絢音ちゃんが…羨ましい…」




「えっ?沙羅…何て言ったの?」




「何でもないよ…沙羅も滑ろっと。絢音ちゃんひとりで大丈夫?」




「あ、あたしのことは気にしないで…!マイペースにやってるから…」




沙羅もそれなりに滑れるみたいだし、美人で本当に何でも出来るんだなって羨ましかった。全然ダメなのは、あたしだけか。




――…ボフ…ッ……




スノボーっていうものを

なめていたわけではありません



ただ…神様は

あたしに



転ぶという特技を覚えさせました



だからきっと…スノボーもうまく滑れないんだと



自分に言い聞かせます…




――…ボフ…ッ…




転ぶのは、昔から




小さい頃からずっと

転んだあたしに手を差し伸べてくれたのは


蒼だった





「ほら」




雪の中に埋まったあたしに、手を差し伸べてくれた蒼。




「何回転ぶんだよ…ほら、手」




蒼の声……

蒼の笑った顔……

蒼の大きな手……



昔のように



「絢音?」



あたしはその手を

握れないよ……




「…んだよっ」




蒼は、あたしの身体を雪の中から抱き起こした。




「ハハッ…絢音、雪まみれで真っ白だ」




そんなふうに笑わないで




あたしの気持ち知らないくせに……




――…ドサ…ッ…!!




そばにあった木の上から、思いっきりたくさんの雪が降ってきて……




仰向けに転んだ蒼の上に、あたしの身体と雪が覆い被さった。
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