幼なじみ〜first love〜
蒼の顔が目の前にあった。




蒼の息が頬に感じる




唇は触れそうなほど
近くて


――…ドクン…ドクン…ッ……


心臓の音が速くなる




目と目が合い


ハッとした




「ご、ごめっ…」




慌てて蒼の身体から離れた。




雪の上に座って2人、あたしは恥ずかしくなって、そっぽを向く。




苦しくて胸のあたりを掴んだ。




心臓の音が蒼に聞こえてしまわないよぉに……




――…ドキッ




後ろから蒼が、あたしのニット帽を取り、髪や肩の雪を振り払ってくれた。




触れないで…


忘れるつもりで来たんだから




やめて……優しくしないで




ねぇ…蒼

本当はね……


“寂しかったよ”って

“会いたかったよ”って



言いたいよ




でも…言えない

何一つ…言えないから




だからそれ以上触れないで……




心が壊れちゃうその前に


もぉ…やめて……




「…あたしたち…幼なじみだもんね」




あたしの言葉に蒼の手が止まる。




「…これからも幼なじみとして、よろしくね」




強がってることを


どっかで気づいて欲しい

あたしがいた




「…ん……よろしく…」




簡単に頷くから、涙がこぼれちゃいそうで…




白い雪をギュッと掴んで、必死に堪えたよ。
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