幼なじみ〜first love〜
「どうしてあたしがここにいること、わかったの…?」




「美々から聞いた」




「美々ちゃんに?」




「まさか島にいるとは…びっくりだったけどな」




そう言って蒼は、周りの景色を見渡した。




「すごい行動力だね」




「本当はさ、昨日絢音に逢いに来るはずだったんだけど……俺、死にかけた」




「えっ…?!」




死にかけたって…


そう言われれば、顔に擦り傷もある。




「昨日絢音を迎えに行く途中に、電車に轢かれて死のうとしてた人を助けたんだ…会社の部下の子で…」




「何でそんな危ないこと…!蒼が死んでたら、あたし…あたし…」




光景を想像しただけで膝がガクガクと震え出した。

もしも昨日、蒼が死んでしまっていたら

…あたしはどれだけの後悔と悲しみを抱えただろうか。




「…俺も会社の人も無事だったし。すぐに誰かが救急車呼んでくれたみたいで…」




「…死のうとしてたなんて…会社の人はもう大丈夫なの…?」




「やっと…わかってくれたみたいだ」




蒼が生きててよかった。

本当によかった。



「必死で…記憶なくて…でもちゃんと庇って線路の外へ倒れ込んでたみたいだ。二人とも気を失ってたけど、軽症で済んだよ」



「気を失ったの?」



「最近、仕事が忙しくて…ろくに寝てなかったんだよ」



蒼は、あたしをもう一度抱き締める。



「そういう問題じゃないでしょ…そんな危ないこと…もうしないで…」



「その人、まるで母ちゃんを見てるみたいだった…だから絶対に助けなきゃって思ったんだ…」



「蒼のお母さん…?」



「もう二度と目の前で人の死を見るのは嫌だった」



「蒼…。…もうお母さんのことで自分を責めないで…もう自分を許してあげて…」



昔の自分を見ているみたいだった。

自分を責め続けて生きてたあの頃…
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