爆走ハラスメント〜ツンデレ生徒会と硬派な王子達
「…たしかに。か弱い女性を選手として巻き込んでしまった。浜松、すまない。」


黙って聞いていた真幸だったが、急に葉子に頭を下げた。


その言葉が、ディランにイラついていた葉子の逆鱗(ゲキリン)に触れた。


「真幸が頭下げる必要なんて、どこにもないでしょ!私の事は、全て私が決める!人に指図されて、何かを決める事なんてないわ!ディラン、あんたいったい何年私を見てるの!?それと真幸!!あんた誰の事を〈か弱い〉なんて言ってんの?馬鹿にしないで!私はこれでも全日本ジュニアチャンプなのよ!高校でも空手続けてたら、連覇してやったわ!」


葉子はそこまで まくしたてると、言いすぎた事に気付き、興奮で乱れた呼吸を整えた。


連覇だなんて出来たかどうかは分からない。ジュニアチャンプになったのも中3の時だ。


葉子の階級は選手層も厚く、高校でレベルが一気に上がる事も知っていた。連覇は出来なかっただろう。


しかし葉子は頭に血が上ると、相手を黙らせる事に集中してしまうので、大きな事も言ってしまう。


『またやっちゃった…』冷静にはなった葉子だったが、早くも後悔の念が波の如(ゴト)く押し寄せていた。
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