飛翔-KODOU-
家に帰ってきたのは、結局朝方だった。冬の朝は本当に寒くて、俺の様に殆ど山ごもり状態の所に住んでいる人間にとっては耐え難いものがある。案の定、家に続いて上がっていく山道は凍結しており、俺は朝方の真っ暗な道を単車を押して歩いていた。わたるの自分史を聞いて、俺は色々考えさせられた。
『もしかしたら、俺には父ちゃんがいるだけマシなんかも知れん』
寒さのあまりに痛む顎関節を開いて独り言を言った。わたるには、父ちゃんも母ちゃんもいないのだ。俺にも父ちゃんしかいないけど、傍にいてくれるだけマシなのかと思ったのが真実だった。腕時計をチラッと見ると、もうすぐ五時半を回る所だった。
玄関を抜けてリビングに出ると、意外にも利芳が起きていて、早朝のニュース番組を見ていた。
『午前さま』
小さな声で利芳が言った。
『コーヒーでも淹れようか』
ソファに横になって、眠たそうにしている。
『ええよ。自分でやるから』
キッチンにあるコーヒーメーカーの前の椅子に座って、コーヒーが出きるのをじっと待っていた。
『兄ちゃん、何かいい事あったん??何か穏やかやね、顔が』
『もしかしたら、俺には父ちゃんがいるだけマシなんかも知れん』
寒さのあまりに痛む顎関節を開いて独り言を言った。わたるには、父ちゃんも母ちゃんもいないのだ。俺にも父ちゃんしかいないけど、傍にいてくれるだけマシなのかと思ったのが真実だった。腕時計をチラッと見ると、もうすぐ五時半を回る所だった。
玄関を抜けてリビングに出ると、意外にも利芳が起きていて、早朝のニュース番組を見ていた。
『午前さま』
小さな声で利芳が言った。
『コーヒーでも淹れようか』
ソファに横になって、眠たそうにしている。
『ええよ。自分でやるから』
キッチンにあるコーヒーメーカーの前の椅子に座って、コーヒーが出きるのをじっと待っていた。
『兄ちゃん、何かいい事あったん??何か穏やかやね、顔が』