Drop Piece
利央に俺、何言おうとした…?
利央ならかんたんにあいつを落とせる。
なのに…なんで止めようとした…?
晴翔があいつを呼び捨てなのも、初めて聞いた。
「…意味…わかんねぇ」
心が乱れた理由。
この時の俺には計り知れなかった。
『お前さ、喋れないんだって?』
『……』
『喋れないんじゃなくて喋りたくないんじゃねぇの?』
『……』
俺は車椅子で美音に詰め寄る。
『俺の足と違ってお前のはすぐ治んじゃねぇかよ。お前の方がよっぽど楽…』
次々に吐き出す残酷な言葉。
だけど美音は顔色ひとつ変えない。
それが妙に腹立たしくて俺は睨み付けた。
『なんか言ったらどうだよ』
美音は紙を取り出し、ペンを走らせた。
そしてその紙を俺の近くの机に起き、静かに屋上を出ていった。
紙にはただ一言。
真っ白な紙に並ぶ黒い八個の文字。
“か わ い そ う な ひ と”
その言葉が深く俺の心を抉る。
声にならない嗚咽が屋上に響き渡った。
「はいっ!OK!」
重く冷たい空気が一瞬にして消え去った。
俺はフェンスにもたれかかる。…一気にエネルギーが消耗された。
「やー、壱流くん!よかったよ」
「どーも…」
「疲れたみたいだね」
「かなり重いシーンっすからね」
「祐樹も美音も残酷でいて綺麗なんだよ。翼をもがれたせいで飛びたくても飛べない…そのもどかしさで相手を傷つけてしまう。それがどのように変わるかが注目だね」