Drop Piece



時刻はすでに18時。

外はすでに暗くなっていた。
その為、室内での撮影となった。


病院を抜け出そうとする祐樹と、それに居合わせる美音のシーン。


『……っくそ』

車椅子が上手く使いこなせずに、なかなか前へ進まない。


『…んなとこ、出てってやる』

俺は、鳥かごの中に閉じ込められる気なんかさらさらない。



入り口までまだまだ。



慣れない車椅子の操作に手こずり腕もだんだんと疲れてきて、憎々しげに足を見つめる。

包帯に包まれて全く動かせない俺の翼。


サッカーの練習帰りにトラックにひかれて全治三ヶ月。


たったの三ヶ月だよ、とみんなに言われた。


だけどその間にも仲間たちは練習して、どんどん上手くなってく。


俺だって今頃必死に練習してる筈だった。

そして……。

三ヶ月後の試合にレギュラーとして出ている筈だった。


その試合の時に完治してるかもわかんねぇ。

見る…だけしかできない。


『そんなんになって……たまるかよ』

額に浮かんだ汗がぽとり、と滴れる。


そう簡単には…いかなかった。


─ガタンっ


車椅子全体に響く振動。

角にぶつかってタイヤが引っ掛かっていた。


がたがた、と揺らしても外れない。


『…ちくしょう…っ!』


だが、いきなり後ろから力を感じる。


タイヤが外れ、真っすぐになった。

後ろを勢い良く振り替える。


『お前……』



< 68 / 340 >

この作品をシェア

pagetop