Drop Piece



五回ほどの呼び出し音のあとにいつもより眠そうな彼の声が聞こえた。



『…ふぁ…はい…琉飛…です』

「りゅー、どしてそんなに眠そうなの?」

くすくす笑うと再び聞こえる欠伸。


『……朝…事務所行ったら…社長に…捕まって…』

「うん」

『……』

「りゅー?」

『……』


くぅ、と寝息が聞こえた。

まさか!


「琉っ!寝ちゃだめっ」

『…寝て…ない』

「社長とどうしたの」

『新曲の…ぴー…ぶいの…コンセプトを六時間ぐらい…語られた…の』


しゃちょーのマシンガントークに六時間も付き合えただけでびっくりだよ。


また笑いが込み上げてきて、紅茶を一口飲んだ。



『途中まで…壱流もいたんだけど…用事があるから帰るって』


無言で紅茶のカップを机に置く。


「ねぇ、琉」

『なに?』

「あれで落ちなかった子なんて、初めてだよ」

『?』


女の子のこと聞かれたのは予想外だったけど、別に大丈夫な筈だった。

相手になってよ、って言えばどんなに固いガードも壊せたのに。



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