ウルフ
小屋の中は綺麗に整頓されていた


『寒かったろう?温かいスープを作ってあげるからね』


『ありがとうございます』


そう言うとおじいさんは奥へと行ってしまった


レイと呼ばれた旅人は、小屋をまんべんなく見回したあと、ロボットに質問した


『熱反応は二人だったよね?』


『うん、小屋の奥に反応があるよ。なんか感じた?』


『いや…』


数分後、おじいさんがポタージュとパンを二個運んできた


『すまんの、こんな物しかなくての』


『いえ、とても感謝致します』


レイと呼ばれた旅人は丁重な言葉で返した


『おじいさんは一人暮らしなんですか?』


パンを頬張りながらレイと呼ばれた旅人は質問した


『行儀が悪いんだから』


ロボットが言う


『ばあさんと二人暮らしなんじゃが、この所寝たきりでな』


『寝たきり…』


おじいさんは肩を落とした


『病気なんですか?』

ロボットが言う


『あぁ…、ロボットさん。原因不明の病でな』


レイと呼ばれた旅人はかしこまりながらスープをすすった


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