冬物語
お母さんはそのまま車を走らせてあたしを置いていった。
「レイは小学校の頃矢野さんの家によく行ってたの?」
後ろから羽田さんがレイに言った。
「昔な。」
レイがそう言って俯いたのを見て、あたしはレイが掴んでいた手を振り払った。
そのままずんずん一人で歩く。
「おい綺魅!」
追いかけてこないでよ。
ほら、羽田さんが悲しそうにしてるよ。
「待てって。話しあんだから一人で行くなっつの。」
「…」
あたしは無視を決めて、前を向いて歩き続けた。