冬物語
あたしが黙っていると、
「心配せんでも大丈夫やって。ほら、乗り。」
ハルはそう言ってあたしの腕を引いた。
「ちゃんと掴まっとけよ。 おし。」
あたしがハルの肩を掴んだのを確認すると、ハルは自転車を漕ぎ出した。
前にはソウがユイを乗せて漕いでいる。
慣れてるなー。
「そんなカチンコチンにならんくても平気やって。笑」
緊張が背中に伝わったらしい。
「あー。漕いどるとキミと喋れやん。」
ざんねんそうなハルの声。
なんだかとても申し訳ない気持ちになる。
「そや!背中書いてよ。背中。」
背中?
「そーそー。背中で書いてくれたら俺答えるし。なんかゲームみたいやし。な?笑」
ほんとに楽しい人だ。
「そういや、キミは中学んときどうしとったん?部活とか。」
「・・・。」
これは・・・背中に書くべき?
【き た く ぶ】
「おー、わかったわかった。帰宅部やったらいきなりマネとか大変ちゃう?」
前を見ながら漕ぐハル。
【そ ん な こ と な い】
伝わったのか、
「そっかそっか。ならよかった。」
後ろからでも、ハルが笑っているのが分かった。