空の少女と海の少年


「なあっ!奈々も乗りたいよな!疲れたよな!」

「春を歩かせる気?こんな暑い中倒れたらどうするのよ。男なら歩きなさい。」


……待て待て待て待て
毎日10km走る楠木だぜ?
倒れる訳ないだろ!


しかし奈々に逆らうと命に関わるので
陸は海斗に訴える事にした


「海斗!俺も熊に乗りたい!」

「……春に降りろって言ってんの?」

「だって楠木ずっと乗ってるじゃんか!」

「春はか弱いんだよ。こんな森の中歩いて怪我したらどうするんだよ。陸は歩け。あの熊は春のだ。」


……待て待て待て待て
趣味は筋トレの楠木だぜ?
この前学園の森の中で
ターザンみたいに飛び回ってたぜ?


しかし海斗は春を溺愛しているので
何を言っても無意味だと思った陸は
熊を諦めてトボトボ歩いた


「海斗〜、ちょっと寒いな。」

「わりい……この位か?」

「うん!丁度いいっ!ありがとーねっ。」


海斗は春の頭を撫でながら
小さく笑っている
陸はふと疑問を感じて質問してみた


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