空の少女と海の少年


──記憶が封印されて2日後の朝
2人はいつものように
ベッドに寝ころんで話してた


「春ちゃん、今日は何して遊ぼうか。」

「蓮はいつも何をしてるの?」

「……何もしない。たまに漫画読むだけだよ。」


つまらないでしょ?
と蓮が苦笑いすると
春は首を傾げた


「友達は?」

「友達なんていらない。信じられるのは魔神様と春ちゃんだけだよ。」

「……春が来るまで寂しかった?」


その言葉に蓮は悲しげに笑った


「……寂しかった。魔神様は忙しいから僕と話す時間はないし、城には魔物ばかりで遊ぶ相手もいなかった。たまに人間界に行って仕事をして……僕はいつも独りぼっちだった。」

「………だよ。」

「え……?」


春は蓮の頭を撫でながら
涙を流していた
自分と同じ漆黒の瞳から
落ちる涙は透明で綺麗で
蓮はただそれを見つめていた


「もう大丈夫だよ。春がいるから、独りぼっちじゃないよ。」

「っ……!」


愛おしくて愛おしくて
春をギュッと抱き締めた

蓮の瞳からも涙が零れて
静かに頬を伝っていく


「……もう1人は嫌だ。僕を…1人にしないで…。」

「春はずっと蓮と一緒だよ。約束。」

「約束……?」

「そう、約束だよ。春はずっとそばにいるから──。」


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