空の少女と海の少年


その時
何かが月を横切った

大きな鎌に大きな羽根
漆黒の髪は風になびいている

赤い瞳と目が合うと
頭の中に声が響いた


《見つけた。久しぶりだねお姫様。》

「……はじめましてだよね?」

《私はあなたと昔会っている。思い出さない?一度、遊んであげたのよ。》

『春、耳を傾けるな。今すぐ着替えて庭に出なさい。みんなにも伝えて、いつでも戦えるようにしておいて。』


突然聞こえた声に顔を上げると
真剣な表情のサラが立っていた


「なっなんでサラ?春呼んでないよね!?」

『最近は呼ばれなくても出てこれるのよ。そんなことより、早く行きなさい。』

「う……うん。」


春が更衣室に行くと
サラは月を睨んだ

いや、正確には
月の前に立っている死神を


『貴様を解放するとは、リールは何を焦っている?』

《さあ?私は空と海を殺せと言われただけよ。》


悪魔はクスクス笑うと姿を消した


『ふざけるな……!』


拳を握り締めると
サラは春の所に瞬間移動した


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