空の少女と海の少年


魔神様に寮の部屋へと
強制移転された蓮は
拳を握り締めて
壁を思い切り叩いた


魔神様は無事だった
リールに殺されなかったんだ

……でもやっぱり
まだリールに操られてた

そうでなくちゃ
あんな酷いことを
魔神様が言うわけない

絶対そうなのに……


「……なんで…瞳は金色なんだよ…!」


最後に僕が見た時の
魔神様の瞳は濁った黒

だから操られてるんだって
すぐに分かったけど

さっきの魔神様の瞳は
僕の大好きな綺麗な金色
いつもの瞳の色


蓮はそのまま座り込んで
涙を流しながら笑った


「魔神様はもう操られてないんじゃん。もう……リールを倒す理由なんてないじゃん……。なんで…?魔神様……なんで…。」


声を押し殺して泣いた

最近泣いてばかりだ
辛いことばかりだ
楽しいことなんてない

僕はまた捨てられたんだ


「どうすればいいんだよ……。」


蓮の悲しい呟きを
すでに起きていた海斗は
黙って聞いていた


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