空の少女と海の少年


──足元には芝生の大地

楽園の中のどこかなのだろう
優しい風が奈々の髪を撫でた

気持ちよい風のはずなのに
奈々の表情は険しかった


対戦相手の息の根を止めろ?
それって殺せってこと?

……ふざけてるのかしら。

そんなの
無理に決まってるじゃない。

だって……。


奈々が戸惑いの瞳で
目の前に立つ陸を見ると
陸は悲しそうに微笑んだ


「……これが、試練なんだな。」

「ふざけてるわ。何かの間違いよ。」


奈々がユラ達を呼ぼうと
口を開けた瞬間
ふわりと陸に抱き締められた


いつもなら殴ってる
いつもなら潰してる

いつもなら、
いつもなら……


奈々は抵抗せずに
黙って陸の温もりを感じた

そんな奈々に驚きながらも
陸は奈々の肩に顔をうずめた


「奈々、俺を殺せ。」


優しい声に含まれた決意に
奈々は目を見開いた


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