空の少女と海の少年


「──奈々……?何言ってんだよ。」

「私を殺して、陸は前に進みなさい。完全覚醒の為よ。」

「ふざけんなよ!」


陸は目の前に立つ
無表情の奈々に怒鳴った

その声にビクリと
体を震わせた奈々は
悲しそうに顔を歪めた


「じゃあどうすればいいのよ……。私には陸は殺せない。だから、私を殺してよ。」

「これは何かの間違いだろ!その内敵が来るんだよ!」

「……違うわ。これは陸と私の戦いなのよ。」

「嘘だろ……。」


荒れた砂漠の大地の上で
陸は拳を握り締めた


こんな試練ふざけてるぜ
仲間同時で殺し合い?

ふざけんなよ。

俺達は5人で戦うんだ。
全員揃ってリールを倒すんだ。

だれか1人でも
欠けちゃいけねーんだよ。


陸が俯いていると
大好きな香りがした

腰に回された細い腕は
微かに震えていて
陸はそっと奈々を抱き締め返した


「奈々、俺には奈々は殺せない。」

「……馬鹿じゃないの。それにか方法はないのよ。」

「馬鹿なのは奈々だろ。よーく考えろって。誰も死ななくていい方法。」


その言葉にゆっくりと
顔を上げた奈々に
陸は優しく微笑んだ


「何もしなけりゃいいんだ。」

「……やっぱり死になさいよ。」


_
< 533 / 652 >

この作品をシェア

pagetop