空の少女と海の少年


「──懐かしいね。」

「ん、そうだな。」


目の前に広がるのは
コバルトブルーの海

真っ白な砂浜に座り込んで
寄りかかってくる
春の髪を撫でていると
試練の事は忘れたくなる

海斗の前に現れたのは春

それが、何を意味するのか
海斗には分かっていた


春は分かってんのか?
いや……分かってる訳ないか。

分かってるなら
こんな落ち着いてる訳ない。


¨相手の息の根を止めろ¨


ソウの言葉が頭を過ぎって
春の髪を撫でていた手が止まった

春は閉じていた目を開いて
普段の焦げ茶色の瞳で
海斗の顔を覗き込んだ

目が合った瞬間
海斗は春を抱き締めた


「……海斗ー?どうしたの?」


離したくない

春を殺すなんてできるかよ

この海で決めたんだ

春を守るって


ドンッ


春を砂浜に突き飛ばすと
海斗は無言で立ち上がった

そして氷で刃を作り出すと
驚いて目を見開く春の前に突き出した


「……か…いと?」

「本気で来いよ。じゃなきゃ、死ぬぞ。」


冷たい青色の瞳

春は唇を噛み締めて
両手に¨空¨を召喚した


風が2人の間を吹き抜けると

金属音が鳴り響いた


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