空の少女と海の少年


……ここまでなのか

私はまた何も出来ないのか


あの笑顔を守ると誓ったのに


また、守れないのか



春の笑顔が頭に浮かぶ
そして、ウタの笑顔も


いつも抱き付いてきて
いつも好き、とか言って

春たちの言葉で言うならウザい


何故ウタが出て来る

何故、何故


何故、涙が出るんだろう


頬を伝う涙は
神となった時点で捨てたもの

涙で滲む視界の端に
鈍く輝く剣が見えた


『さらばだ、雷神よ。』


振り下ろされた剣を見つめ
サラは悔やむ気持ちに
耐えられずに目を瞑った


『すまない…春……ウタ……。』


最期に、自分を呼ぶ声が聞こえた気がした


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