空の少女と海の少年


城に着き、サラが春を降ろすと
すぐに奥から少年が走ってきた


「はる!どこいってたんだよ!」

「あ、かいとっ!あのねっサラとおはなつんでたー。」

「かってにそとでんなよ!……しんぱいするだろ。」


海斗は照れているのか
頬を少し染めながら言う

春がありがとうと笑うと
海斗は軽く頷いて春の手を取った


「かあさまがよんでたからいくぞ。」

「うんっ!サラ、またあとでねっ!」

『……ああ。』


サラは苦笑いして手を振る

海斗が春に見えないようにして
勝ち誇った笑みを浮かべていたから


いつもなら殴っているが
……今日は別だ


走り去っていった2人を
悲しげに見つめていたサラは
次の瞬間には、その場から消えていた


_
< 568 / 652 >

この作品をシェア

pagetop