空の少女と海の少年


「──……夢……?」


海の神殿で目が覚めた春は
今見た夢を思い返していた


あれは小さい頃の春達
人間界に来る前の記憶


春は小さく溜め息をつくと
まだ床で眠る3人の仲間と
その近くで眠るカイとクウを見た


「……何で春だけ起きてるんだろ。……まあいいや。」


立ち上がると体が軽いし
今まで欠けていたものが
ぴったりのはまった感覚に
完全覚醒は無事に終わったのを理解する


それなら、春のやる事はひとつだけ


仲間が目覚めるのを
待っている時間なんてない

楽園にある強い闇の力を
ピリピリと肌に感じていた


「リール……。」


遂にこの時が来たんだ
この時の為に春達は頑張ってきたんだもん


焦る気持ちを抑えるように
ゆっくりと深呼吸をし
精神を集中させていく

風を纏いながら空間を繋げると
春は一瞬で楽園へと移動した


_
< 571 / 652 >

この作品をシェア

pagetop