空の少女と海の少年
少し歩いて立ち止まると
ミウは右手を前に突き出す
何もなかった筈の空間に
小さくて真っ黒な門が現れ
そこを通ると、門は溶けるように消えた
『着いたよ。』
『………。』
ミウの声に、春はゆっくりと顔をあげた
純白に輝く巨大な城は
春の記憶にあるものと同じで
広いバルコニーの向こうにある
王の間の玉座には母親がいるはず
ずっと会いたかった。
今から会えるんだ。
だけど素直に喜べないのは
サラとウタの事が胸を占めているから
ミウは深い溜め息をつくと
春の頭にポンと手を置いた
『信じる事はできないの?』
「信じる……。」
『サラとウタは信じてるよ。春はリールを倒すって。』
「………。」
『もちろん私も、他のみんなも。人間界にだっているはずだよ。みんなが春を信じてるのに、春はみんなを信じないの?』
「っ!!信じるよ!信じてる!」
春が叫ぶとミウは微笑み
頭から手を離して春に差し出した
『じゃあ行こう。時間を無駄にはできない。』
「うん!」
春は笑顔でミウの手を取り
巨大な城の扉を開いた
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