空の少女と海の少年


残った陸と奈々の間を
爽やかな風が通り抜けた

唇を噛み締めながら俯く陸に
奈々は少し呆れたように話す


「……自分で言って後悔するなら言わなきゃいいわ。」

「あのくらい言わなきゃ海斗と蓮は動かねえだろ。……俺達が一番知ってんだ。」

「そうね……。」


何百億という年月を生きて
何回も転生を繰り返した

どの記憶を探しても

今の時代程
5人で過ごした日々程
楽しかった記憶はなかった

大切な仲間でもあり主でもある
3人を護るのは使命なんかじゃない


護りたいから、護るだけ。

だけど2人が護りたいのは
春と海斗と蓮だけじゃない。


陸は顔を上げて奈々を見ると
小さく笑って奈々の頭に手を置いた

いつもなら払い退けるの筈の奈々が
黙ったまま俯いているから
陸はそのまま髪を優しく撫でた

伝わる暖かい温もりのせいか
涙腺が緩んで涙が溢れそうになる


陸は……ずるい。

ふざけてるふりして
ちゃんと考えてて
だけどどこか抜けてて

馬鹿で、馬鹿で、馬鹿で。


だけど、私も馬鹿だわ。

こんな馬鹿の事が


陸の事が大好きなんだもの。


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