空の少女と海の少年


頭の上で息を呑む音が聞こえたと思ったら
ギュッと、強く抱き締められる

耳元で囁かれた言葉に
顔が赤くなってくのが分かった


「俺も。」


やっぱり、ずるい。

私が頑張って言った言葉を
たった2文字で返すなんて

その言葉だけなのに
切ない程胸が締め付けられる


「奈々、もっかい言って?」

「嫌よ。」

「素直じゃないな〜。ま、そこが好きなんだけど。」

「煩いわ。」


俯いたままの奈々は陸の胸を押して
少し距離をとると顔を上げた

陸を真っ直ぐに見つめるのは
真っ赤な顔ではなく真剣な顔

それは陸も同じだった


2人は無言のまま
空間から武器を取り出すと
右側に降り立ったリール達に向けた

バサリと音を立てて
漆黒の羽根をしまいながら
リールはクスリと微笑んだ


『炎神と気神か……何百年ぶりだろうね。』

「ま、時間の流れが違うから、俺達にとっては17年ぶりだけどな。」

『そうだったね。ところでさ、空と海はどこ行ったの?水神はどうでもいいけど。』

「分かってるくせに、いちいち聞かないで欲しいわ。」


奈々が冷たく言うと
リールはまたクスリと笑う
しかし、目は笑っていなかった


『……やっぱり、あなた達は嫌い。』

「あら偶然。私達もよ。」


奈々の完璧な微笑みは
リールを怒らせるのに十分だった


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