空の少女と海の少年


小さく掠れた春の声は
2人の心を動かすのに十分で
どちらからというのも無く
蓮とレノンはお互いを見た

春はそれ以上言わずに
少し後ろに下がると
黙って2人を見つめる


2人は答えが分かっていた

目の前に立つ者が自分の大切な人だと


もしも春が現れなくても
お互いを傷付ける事は出来なかった

大切な人が傷付く姿
それが見たくないから
2人は離れたのだから


『すまなかった……。』


レノンに抱き締められると
目の奥が熱くなるが
蓮は必死で涙を抑えた

今泣いたら止まらない気がしたからだ

久しぶりに感じる暖かい温もりに
レノンも涙が溢れそうになる


「っぐすっ……よがっだよう……ぐすっ。」

『春が泣くなよ。』

「だっでえ……よがっだんだもん!」


ワンワンと泣く春の横に
いつの間にか現れていたクウは
呆れて溜め息をついた


クウとカイが目覚めて
楽園に来たのはついさっき

奈々を癒やした後
ふと、何かを感じた春は
その場は海斗達に任せ
ここに飛んできて今に至る


向こうは向こうで上手くやっている筈だ


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