空の少女と海の少年
そう言ってリールは微笑み
背中から生える漆黒の羽根を
バサリと音を立てて広げた
空を覆う黒雲も濃度を増し
春が纏う雷とクウとカイだけが
暗闇の中を明るく照らしていた
やばいと本能が訴える
海斗は手に力を集中させ
強い光の球体を作り出したが
まるで光を食べるかのように
周りの闇が光を蝕んでいく
──強い光は闇を消し
強い闇は光を飲み込む
相対の関係にあるものは
常にぶつかり合っているんだよ
春が闇に支配された時に
遊園地でミウが言ってたな
こういうことか……。
『……無理。』
カイの苦しそうな声がしたら
蒼い光がピアスに入った
クウも同じように春の元に
水色の光になって帰っていく
春の雷も徐々に消えていき
楽園が完全な闇に支配される
この中で視界がハッキリしているのは
恐らくリールと蓮だけだろう
リールは集中力を高めて
鎌の柄で地面を叩いた
「……っ!!」
リールの足元に広がった
巨大な紅い魔法陣は
不気味な程に鈍く光り
それに呼応するように
リールの殺気は増していく
よく分かんないけど
止めなくちゃ!
春はジュエルを変化させ
リールに向かって双剣を振るう
しかし、剣が肌に触れる寸前で
春の動きはピタリと止まった
いや、違う
止められたのだ
『お姫様、じっとしててよ。』
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