空の少女と海の少年


しかし
どんなにヒビが入っても
結界が壊れることはなかった

そうしている間にも
春の足元の魔法陣からは
黒い水のようなものが溢れる

それでも諦めずに剣に力を送る海斗を
楽しそうに嘲笑うリールだったが
すぐにその笑みは消え去り
代わりに焦りの色が見えた


視界の端に見えた黒髪に
海斗は目を見開いた


「奈々……。」

「早く春を助けるわよ。」


そう言って微笑んだ奈々は
結界に手を付いて力を送り
弱くなるように働きかけていく

海斗の剣のすぐ近くに
真っ赤に燃え盛る炎を纏う剣が
勢い良く結界に突き刺さった


「楠木を助けんだろ!!もっと気合い入れろ!!」

「陸……。」


唇を噛み締めて力を込める陸は
炎を更に大きくさせていく


そして右側にも海斗と同じように
強い光を放つ剣が突き刺さると
その光に照らされた金髪が輝いた


「蓮……。」

「春ちゃんを守るんでしょ?」

「当たり前だろ。」


笑みを浮かべた蓮に海斗は言うと
結界から剣を引き抜いて
思い切り振りかぶった


「春は俺達が守るんだよ!!」


海斗の叫びと共に剣は結界を突き破り
漆黒の結界は音を立てて砕け散った


_
< 612 / 652 >

この作品をシェア

pagetop