空の少女と海の少年


海斗はすぐに上に跳ぶが
それを追うように根も上に伸びる


「……うぜえんだよ。」


眉間にシワを寄せながら
舌打ちをした海斗は
伸びてくる根に向かって
スッと右手を突き出した


『雪月花』


手から溢れた冷気は根を凍らせていく
芯まで凍った時、根にはヒビが入り
パリンという音と共に砕け散った


キラキラと輝いて舞う氷の粒の向こう

地面から伸びてきた数本の根を
陸が燃やしているのが見えて
無事を安心したのもつかの間

すぐに次の根が伸びてきて
海斗達に襲いかかってきた

避けながら地面に視線を落とすと
そこはもう大樹の根で埋め尽くされ
どんどん楽園を侵食していっている


このままじゃキリがねえ。

早くしねえと春が……。


考えを巡らせる海斗の耳に
不愉快な笑い声が聞こえてきた


『やっぱ餌がいいから成長が速いね〜。今頃はみんな逃げ惑ってるんだろうな……ふふふっ早く見たいな。』

「どういう意味だ。」

『こういう意味だよ。』


リールはクスリと笑って
両手を前に突き出した

その手から現れた大きな2つの
シャボン玉はふわりと浮いて
大樹の前まで上っていく


シャボン玉に映像が映し出されると
海斗と奈々と陸と蓮は息を呑んだ


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