スタッカート
流れるようなギターの音。
それが始まりだった。

何となく気まずくて、なかなか彼を真正面から見ることができないまま、私はまた人に揺られながら酔いと戦っていた。
早く終わってくれないかと思った次の瞬間、








彼が、歌い始めた。








一瞬でその声は私の全てを支配した。

背中からぞわぞわと鳥肌が立つ。


温かくて冷たい。
鋭くて柔らかい。

大きな波に、飲み込まれていくような、その感覚。
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