スタッカート
今まで感じたことのないそれに、聞いたことない歌声に、私はその場から動けなくなってしまった。
驚きで、真正面にいる彼を見つめられずにはいられない。
隣にいたヒナが声をかけてくる。
「ね、すごいでしょ?」
ヒナのその言葉が聞こえるか聞こえないかのタイミングで、私の後ろにいた観客が歓声をあげて前に押し寄せてきた。
最前列の私は物凄い力で前に押され、激しい頭痛の波と吐き気でふらついていた足はすぐにもつれた。
―倒れてしまう……
ゆっくりと真っ暗な世界に引きずり込まれていく。
遠ざかる音と滲んでいく景色。
闇に落ちる寸前、私が見たのは、ライトに照らされキラキラ光るマイクと、射抜くような鋭い瞳だった。
驚きで、真正面にいる彼を見つめられずにはいられない。
隣にいたヒナが声をかけてくる。
「ね、すごいでしょ?」
ヒナのその言葉が聞こえるか聞こえないかのタイミングで、私の後ろにいた観客が歓声をあげて前に押し寄せてきた。
最前列の私は物凄い力で前に押され、激しい頭痛の波と吐き気でふらついていた足はすぐにもつれた。
―倒れてしまう……
ゆっくりと真っ暗な世界に引きずり込まれていく。
遠ざかる音と滲んでいく景色。
闇に落ちる寸前、私が見たのは、ライトに照らされキラキラ光るマイクと、射抜くような鋭い瞳だった。