スタッカート
一人であたふたしている私とは正反対に、
並んで私を見下ろしていた二人は冷静だった。二人とも顔を見合わせてホッとしたようにため息をしている。

「……あの……?」

私は寝かされていたソファから、ゆっくり上半身を起こして二人をまじまじと見つめた。
動くと背中や足にズキンと痛みが走ったけれど、そこは我慢した。

「いやーよかった。打ち所悪くてもう目覚まさないかと思ったよ」

二人のうち、左にいた短い茶髪の男の人が言った。
そして、ああ、と思い出したように口を開いた。

「俺は勇太。こっちは恵(ケイ)。」

自分と、隣に立つ人を指して言う。

「あとトキがー…って、あいつまた目放したすきにどっか行っちまったのか」

勇太さんが呆れたようにドアのほうを見た。

「あの……わたし、倒れたんですか?」

私の言葉に、窓の外を見ていた恵さんが、襟足の少し長い髪を邪魔そうに払いながら言った。

「そう。ライブ中に。…トキが倒れた君を助けたんだ。そして楽屋に運んで来た」

「トキ?」

「うちのバンドのボーカル。」

恵さんはきょとんとした私を見て少し笑う。

「君の前で歌ってた目つき悪いやつって言ったらわかる?」

そこまで言われて、私は、ああ、と声をあげた。

そういえば彼はトキと呼ばれていた。


私はあの鋭い目を思い出し少し鳥肌が立った。
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