つま先立ちの恋
本鈴の余韻が校舎から消えた頃、和泉が何も言わないままだったので私が言葉を続けた。


「アレ、冗談なんでしょ? だってあの後、和泉ってば何も変わんないし。よく考えたらさ、和泉もヒカルちゃんを傷つけないように断ろうとして、咄嗟にそんなこと言っちゃったんでしょ?」

話しながらなんだか焦ってきた。焦って、とにかく何か言わなくちゃって気になればなるほど焦って。

「あれくらいのことで和泉との友だち関係崩したくないし、私も。ヒカルちゃんとは…まぁ、可愛い子に嫌われるのはショックだけどさ~」

「お前、マジかよ」

「いいじゃん。私だって可愛い子好きなんだ、、、もん」


言い終わる前に唇に何かが触れた気がした。

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