つま先立ちの恋
「てめっ、、、」


起き上がろうとした私の肩を押さえ付け、和泉は離そうとしなかった。

「いっ、、!」

痛いと言いたかったのか。
和泉の名前を呼びたかったのか。もうどうでもよかった。

とにかく暴れてやった。
とにかく和泉を殴ってやった。
とにかく足をバタバタしてやった。

それでも和泉は離れない。


ようやく離れたと思ったら ……―、


「これでも俺と友だちでいる気かよ」


その時の和泉の顔。
私を見下ろす、真っ赤な目。



……― ドキッとした。

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