つま先立ちの恋
言葉が出てこなかった。それよりも気持ちの方だ。感情が凍りついた。

怒っていいのか、
鼻で笑い飛ばしてやればいいのか、はたまた泣き叫べばいいのか全然わからなくなった。

そんな私に和泉は言う。


「俺が変わらないって? 当たり前だよ。俺はずっとお前のことが好きだったんだからな。それをお前に言っただけだ。俺は何も変わんねー」

和泉は私の顔の真横に手をつき、まっすぐ私を見つめていた。そんな和泉の熱に閉じ込められた気がした。

「私、」

「知ってるよ。好きなヤツがいるんだろ。けど、俺から見ればそんなの好きのうちに入らねえ」


…………―― あ゛?


「俺にしたら、どっかのアイドルにはしゃいでるただのガキだ」



………… ブチッ!



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