つま先立ちの恋
「お父さんから聞いたの。フー、今、お仕事大変なんでしょう?」

私の判断は間違ってなかったみたいだった。だってその証拠にフーはもう一度イスに座ってくれた。それに、

「…何を聞いた」

私の言葉に興味を持ってくれた。フーがようやく私のことを見てくれた。

それが嬉しくて私は、緩む頬を抑えることができない。興奮して一気に喋り出す。

「あのね、お父さんがね、今、フーはお仕事で追い込まれてるって言ってたの。どっかの誰かにイスを取られたって。

でね、その人がね、そんなことできたのは奥さんの力だって言ってた。その人の奥さん、会社のお偉いさんの娘さんなんでしょ? そのおかげで上の人たちとも顔がつながって、裏から手を引いたんだって」

話が進むに連れてフーの表情、目の色が変わるのがわかった。


そっか。
もしかしてフー、知らなかったのかもしれない。

そうだよね。同じ会社の人がこんなひどいことするなんて、フーだって信じられないよね。

私はそんなフーの気持ちに寄り添えた気がして、また興奮してきた。

< 154 / 468 >

この作品をシェア

pagetop