つま先立ちの恋
フーの顔がよく見えない。見えない、見えない。

なのに、声だけはやたらと頭に響いてくる。

「自分の理屈ばかり、利点ばかりを繋げて出したんだろうが、俺にとっては何の価値もありはしない。これっぽっちもな」

どういうこと?
フーにとっては何の価値もないって…

だってフーは、
フーに足りないのは、
 、、、
「後ろ楯」なんでしょ?

「物事を自分の都合のいいようにしか解釈していない。だからお前は子どもだって言うんだよ」

「フー、違う…」

私にはもう首を揺らす力もない。

「何が違う」

だけど、フーの言葉はこんなにも力にあふれていて。

「私はフーの為に、」

「犠牲になるって? 今度は偽善の押しつけか。大したもんだな。そう言えば俺が有り難がって話に乗ると思ったか」

「そんなこと、」

今にも押し潰されそうだ。

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