つま先立ちの恋
「何なんですか、さっきから。なれなれしく呼んだり触ろうとしたり。私だって滅多に触らせてもらえないのに!」

胸にくすぶっていた感情が爆発する。

「帰ってください。今すぐ帰ってよ。私はあなたがここにいる理由だって納得してないんだから」

明人さんが拳を口に充てる。隠された口が笑いを堪えていることにも気付かない私。

「誘惑しないで!変なちょっかい出さないで!」

自分でも何を言ってるのかわからないまま叫んだ。

「あなたなんかにフーは渡さないんだから!」

そうしてようやく息継ぎをしていると、

「気は済んだ?」

と。

明人さんが笑っていることにようやく気が付いたんだ。しかも私のことを馬鹿にしたような笑い顔だった。

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