つま先立ちの恋
「ありがとう、葵ちゃん」

「いいよ。どうせ試合には私、出られないからね、補欠だし」

「そうじゃなくて」

「ん?」

首を傾げる葵ちゃんの顔はとても可愛かった。私は今更ながらちょっとばかり照れくさくなる。

だけど、

「走れたのは葵ちゃんのおかげだから」

私があそこまで走ることができたのは、葵ちゃんの言葉があったからだ。

私の中で何が起こったのかをもちろん知らない葵ちゃんはきょとん、とした目をする。

あぁ、抱きしめたいなぁと思った。


「へっ、、、ちょ、灯歌ちゃん? 急に何?」

「葵ちゃん、大好き!」

「ちょ、痛い…てか苦しいよー!」

二人で笑い合っていたその時、

「おっ、えぇなぁ。俺も交ぜてもらおうかな?」

このひょうきんな声は……、


「「シロ先生っ!」」

振り返るとそこには、やっぱり笑顔のシロ先生がいた。
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