つま先立ちの恋
怒りのあまり状況が見えなくなっていたのは私の方だった。女四人に取り囲まれ、睨み合う導火線から今にも火花が飛び散る寸前。さすがの私も体の先、つま先が冷たくなる。だけど、ここで怯んだら負けだ。気持ちで負けるな、私!

「知りたいって言うんだから、教えてあげればいいじゃん。メンドーだけど」

一人が長い髪の先を指に絡ませながら言う。

「言わなきゃわかんないんだから」

……………、バカにして!

私が口を開くことを遮るように、ショートボブの女が私の前に立ちはだかる。そして、

「いっつも自分だけがイイコでいようとする、その態度がウザイって言ってんだよ」

「いい加減気付けよって言ってんの。あんたのせいで迷惑してる人間がたくさんいるんだから」

意味わかんない。私は眉をしかめる。けれど、

「ほら、教えてやったんだから、ありがとうくらい言えよ」

肩を突き飛ばされた。

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