つま先立ちの恋
それでも。

「なんで、和泉の名前が…今は関係ないでしょ」

「だから、関係ないなんて言わせないって言ってんでしょ。話、聞いてた?」

「バッカじゃないの。あんたのその態度。それがムカツクんだよ」

頭の中が混乱してきた。胸の奥が渦を巻いている。その中心にいるのは誰だ。

混乱して焦点の定まらない私に、キレイな顔をした女が言った。

「その顔、本気でわかってないわけ?所詮その程度か。和泉君もカワイソウに」

同情的に目を伏せながら、私の前に歩み出たその女が言う。

「なら、仕方がないから教えてあげようか。あんたのジャージ持ってきたの、私たちじゃないから」

「…、」

言い返そうとしたけれど声にならない。悔しくて認めたくなくて、私は下唇を噛みしめる。そんな私に笑みを向け、その女は言った。


「ヒカルちゃんだからね」


それはキレイなキレイな笑みだった。

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