つま先立ちの恋
一瞬の間。

「…ウソだね」

握り締めた拳の内側に爪が突き刺さる。即答できなかったことが悔しかった。3秒すら与えずに言い返してやりたかったのに。それは私の中に迷いがあったからだとイヤでも思い知らされる。

「ヒカルちゃんはそんなことしない。デタラメ言ってんじゃねーぞ、こら」

どんどん言葉遣いが荒くなっていくけど、んなこと構ってられるか。こんな連中にキレイな言葉なんて選んでる場合でもないだろうし。

だけど、そんな私の反応なんてお見通しだとばかりの女たち。わざとらしく笑いをこらえながら、

「だって、ヒカルちゃん。どう思う?」

私の後ろにいるヒカルちゃんに話しかけた。ヒカルちゃんは俯いたまま、頑なに顔を上げることを拒んでいる。

「なら、なんでここにあるのか、ヒカルちゃん、知ってる?」

「そうそう。ヒカルちゃんの口から聞きたいな~」

「そういう言い方は卑怯だってわかんないのか!」

ヒカルちゃんに近付こうとするこいつらの前に立ちはだかり、私も確固たる意志を貫き、女たちを睨みつけた。

「あんたたちが何を言っても無駄だから。私はヒカルちゃんの言葉の方を信じる」


私はこの思いを貫くんだ…!


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