つま先立ちの恋
…だけど。


「好きにすれば?」


「…は?」

睨み合っていた視線がふと外される。いとも簡単に、拍子抜けするくらいに。

「別に私たち、どっちでもいいしね」

「そうだね。私たち、ウソ言ってないし」

「ねぇ、なんかどうでもよくなってきたんだけど。てゆーか飽きた」

「帰ろっか」

途端に態度を豹変させる女たち。なんだなんだ。

まさに鳩が豆鉄砲。こっちが面食らっている間に連中は出て行こうとする。

「…ちょっと、」

思わず引きとめようとしてしまった私に、一人が振り返って笑った。

「あんたは思う存分、ゆーっくりヒカルちゃんから話を聞いたら?」

「逃げるの?!」

「ヒカルちゃんが話してくれたら、だけど」

その言葉を最後に、笑い声は廊下を遠ざかって行った。



……なん、なんだよ、あれ…
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