つま先立ちの恋
しばらく呆然としていた私。ふと、ヒカルちゃんが立ち上がる気配を感じて振り返ると、ヒカルちゃんは制服のホコリをパタパタと払っていた。

「あ、大丈夫?」

咄嗟に口をついた言葉。それから私は慌ててタオルに手を伸ばし、

「これ、つかっ…、」

パシッ………!

差し出したタオルをヒカルちゃんは振り払った。私の右手ごと。

「…ヒ、「いらないって言ってるの」

そう言ってヒカルちゃんが初めて自分から私を見てくれた。だけど、その目は言葉では言い表せない色をしていて、そこにこめられた感情を推し量ることが私にはできなかった。私は払われた右手で胸をぎゅっと掴む。

痛いのは右手か、それともコッチ…どっちだ?

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