つま先立ちの恋
私はパペちゃんのその目に射抜かれた。
さっきまでの勢いはどこに。ぺたん、と冷たいイスにお尻がくっつく。

「どういう意味?」

私に代わって口を開いたのは葵ちゃんだった。隣りに座るパペちゃんは葵ちゃんを横目で見ながら、

「そのまんまだけど。」

「何か気になることがあるの?」

「気になるっていうか…」

「話して、パペちゃん。」

私たちがいくら急かしてもパペちゃんの口は重い。なかなか開こうとしない。

私は噛みつくようにテーブルに身を乗り出してパペちゃんに言った。

「言っとくけど止めても無駄だからね。私、こんな卑怯な手でヒカルちゃんを追いつめたあの子たちを絶対許せないから」

ドン……―!

私はテーブルを叩いた。

その音に驚いた葵ちゃんの肩がはねる。パペちゃんは微動だにしなかった。

「だってヒカルちゃん、何も悪くないのに。悪くないのにあんなことまでされて…」

「灯歌ちゃん、」

私に優しい目を向ける葵ちゃん。その隣りでパペちゃんは微かに眉をしかめると、

「本当にそうなのかな……」

と呟いた。

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