つま先立ちの恋
パペちゃんに指摘されて私は顔を引きつらせた。口角のあたりがピクピクしている。それを見つけた葵ちゃんが指差しながら、

「あ、本当だ。何々、灯歌ちゃんったら、今頃~?」

「ち、違うよこれは!」

「あ、どもった。あやしい~」

「違うったら違うの!」

あ~、もう、パペちゃんが変なこと言うからドーナツが胸につっかえちゃったじゃんか。私はどんどんと胸を叩き、慌てて紅茶で流し込んだ。

「あっちぃ!」

「灯歌ちゃん、わかりやすい!」

『逃がした魚は大きかったか…』

「うぉいっ!」

二人の大きな笑い声に追い込まれて、私はますます困惑してしまった。だから絶対に言えない。最後の最後で、和泉が女の子にモテる理由がわかった、なんて。この二人には絶対に内緒にしておこう。


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