つま先立ちの恋
一年の内で私がフーと必ず会えるのは新年のご挨拶の時だけ。それ以外は元々接点もないし、柏木さんの鉄壁のガードのおかげでなかなか会わせてもらえないのが現実。毎年…いや、いつものことだけどさ。

だけど私だって女の子なんだから、普通にデートとかしたいよ。春にはお花見にも行きたいし、公園で一緒にボートとか乗ってみたい。フーは疲れるからって絶対イヤって言うだろうけど。

それから夏は花火でしょ。お祭りにも行きたいよね、もちろん浴衣着て手ぇ繋いで。冬はやっぱりクリスマスイルミネーション。それくらいの夢は描いたっていいでしょ?だって女の子だもん。好きな人と、いつかきっと……!

………だけどさ、

「わかってはいるけど、私の夢はいつ叶うのかなぁ~」

とほほ、とため息が出ちゃう。だって女の子だもん。

そんな私の背中をぽんぽん、と両側から慰める手が二つ。

「諦めたらそこで試合終了ですよ?」

『そうそう、人生まだまだこれからなんだから』

「……葵ちゃん、パペちゃん、」

二人の優しい言葉にうるうるっときた時だった。


「……どうしたの、灯歌ちゃん?」

突然動かなくなった私を心配する葵ちゃん。私の顔の前で手を振って、「お~い?」なんて声をかける。そんな葵ちゃんの肩をつんつん、と突付くのはパペちゃんの牛くん。そのまま牛くんは『あっちあっち』と私の視線を辿るように短い指を差す。たどり着いたそこにはあの人がいた。



そう、、、『オカダ アキヒト』さんが。


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